2024年2月18日伝わる話にするために大切なこととは?
★物足りなく感じる話の特徴
日本話し方センターの話し方教室では、人前であがらずにに話せるようになると同時に、端的に伝わる話し方のトレーニングもしています。
また、相手が「なるほど!」と納得や共感ができる話し方も力を入れてご指導しています。
相手に納得・共感してもらえる話し方のポイントは幾つかありますが、その一つに『自分の気持ちを話す』ということがあります。
これは話し方教室の受講生のみならず、多くの方が案外気付いていないポイントです。
今回は、この『自分の気持ちを話す』ことについて、2日間集中コースの参加者Hさんとのやり取りを例に解説します。
★受講生Hさんの話
Hさんは話をまとめるのが苦手で、上司から「それで、何が言いたいの?」とよく言われることが悩みでした。
その悩みを解消するために2日間集中セミナーに参加されました。
1日目に話のまとめ方の講義を受け、実際に『失敗談』というテーマでスピーチを作成し、声に出して練習しました。
この時点で話をまとめるコツを少しつかまれたようでした。
そしてセミナーの2日目に『嬉しかった体験談』という実習テーマに取り組みました。
Hさんはこの実習で、奥様やお子様からご自身の誕生日にお祝いのメッセージをもらったという話をされました。
当初、Hさんの話を個条書きにすると次の様なものでした。
- 家族からそれぞれ次のメッセージカードをもらった。
- 奥様からは「お誕生日おめでとう、また家族で旅行に行こうね」
- お嬢様からは「おめでとう、家族の前で私のヴァイオリンを聞いてもらいたいな」
- ご子息からは「おめでとう、新幹線に乗って温泉に行きたいな」
- とても嬉しかった。
心温まるお話ですし、Hさんの気持ちも「とても嬉しかった」という言葉で表現されています。
しかし、物足りなさを感じるのは私だけではないでしょう。
では、何が物足りなさを感じさせているのでしょうか。
★気持ちを具体的な言葉にする
私はこのスピーチを聞いて、Hさんにちょっと踏み込んだ質問をしました。
「すてきなご家族ですね。ところでHさんは、何を嬉しいと感じたのでしょうか?」
「えっ! 何が嬉しかったか、ですか・・・そうですね・・・何が嬉しかったんだろう・・・」
Hさんはしばらく考えていましたが、やがて明るい表情で、
「私は家族全員からメッセージをもらって、これからも家族と仲良く色々なことができるんだな、と思って、とても幸せに感じたんです。それが嬉しかったんですね」
と仰いました。そして、
「自分の気持ちを言葉にして、それを口に出して確認すると、今まで気付かなかったことに気付くことができるんですね」
ととても嬉しそうに話してくれました。
★具体的な言葉にすると気付きが得られる
当初のHさんの原稿では、単に「嬉しかった」としか書かれていませんでした。
しかし、それを少し具体的にすることで、新たな自分の気持ちに気付けたのです。
私たちは日頃様々なことに出くわし、それについて何かを感じているはずですが、大半のことは余り深く追求せず流してしまっています。
しかし、その出来事について少し考えて具体的な言葉にしてみると、深い気付きが得られることも少なくないのです。
そして、このことはビジネストークでも同様のことが言えます。
例えば、単に事実だけを並べた報告を聞くと、上司は物足りなく感じてしまうでしょう。
①「P商事に請求書を届けてきました。期日までにお支払いいただるそうです」
②「P商事に請求書を届けてきました。期日までにお支払いいただけるそうですが、皆さん忙しそうで人の出入りが以前より多かったです。かなり受注が増えているようなので、ウチも営業すれば仕入れを増やしてもらえるかも知れません」
①は単に請求書を渡したという報告をしたに過ぎません。
一方、②は報告だけでなく自分の意見などのプラスアルファの情報を添えています。
どちらが価値のある話し方かは一目瞭然です。
こうした気持ちや考えを具体的な言葉にできるよう訓練を継続すれば、物事に対する観察力や思考力も高まります。
それらを仕事に活かすことで人からより信頼され、活躍できるようになることでしょう。
★各コースの受講の成果をご覧ください!
日本話し方センターの話し方教室では、講義と実習を通じて、多くの受講生に様々な気付きを得ていただいています。
あがり症の克服から、わかりやすく話す秘訣、自分の気持ちをどこまで話せば良いか、など、話し方やコミュニケーション全般について幅広く学んでいただいています。
その成果は実際に受講した多くの人々が実感されています。
ぜひ「受講者の声」をご確認ください!